2005年01月29日

スクラップ

かつて私はスクラップ魔だった。新聞はなるべく隅から隅まで読み,気になった記事をジョキジョキ。雑誌なども捨てる前に気になったページをビリビリ。大学院生になった頃からは,忙しくなって新聞を隅々まで読む時間はなくなったが,それでも1995年頃まではスクラップを続けていたと思う。

「気になった」基準はけっこう曖昧で,簡単に言えば「後で読み返すかもしれない」である。したがって,テーマを決めてまんべんなく,といったものではないし,そもそも「読み返すかもしれない」のは「読み返さないかもしれない」であって,実際には読み返すことなど滅多にない。それでも,何らかの資料的な記事,たとえば,歴代の総理大臣の名前とか,大地震の記録とか,GDPの順位とか,通算本塁打数の記録とか,そういうよくまとまった資料を見かけると,こまめに切り取ってファイルに保存した。ファイルの数は膨大になったが,長年の経験から構築した画期的な方法に基づき整理していたので,必要な情報は即座に取り出せる自信があった(たぶん)。

スクラップをまったくしなくなったのは,ここ10年ほどのことである。理由は簡単で,ほぼあらゆる情報がインターネット上から容易に入手できるようになったからである。まぁここまではよくある話かもしれない。

しかし,思い返してみれば,インターネットを使い始めた当初(1993年頃)からごく最近までは,たとえば Web ページ上に有用な情報があると,つい自分の PC のハードディスク上に保存した。いつの間にかそのページはなくなってしまうかもしれないし,ネットワークにつながらない環境でその情報が必要になるかもしれない。こう見えても意外と慎重なのである。そうして保存された HTML ファイルも山ほどあるが,これも紙と同様の画期的な方法で整理していたので,必要な情報は即座に取り出せる自信があった(たぶん)。

それすらもしなくなったのは,ごくごく最近のことである。3年ほど前から,家でも仕事場でも外出先でも,いつでもどこでもインターネットにつながるようになり,すなわち,ほぼ完全な「ユビキタス環境」を手に入れたので,保存する必要すらなくなった。曰く,インターネット全体がスクラップブックであり,検索エンジンやブックマークを上手に利用すると,必要な情報は即座に取り出せる,かどうかは怪しいが,かつてのジョキジョキ,ビリビリのスクラップ時代が遥か原始的に思えるのは事実だ。あの頃からたかだか10年程度しか経っていないのが不思議であるが。

長年の経験から構築した画期的な整理の方法が使えなくなったのはちょっと寂しいが,目下の夢は,膨大に蓄えた昔日のスクラップを,すべてイメージスキャナで取り込んで電子化することである。他にもこういう夢はたくさんあるが,それはまた後日。
posted by gecky at 22:10| 千葉 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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