「アオイオサカナイナクナッチャッタ〜」と泣き叫ぶ王子を,「青いオサカナさんね,きっと海に行っちゃったんだよ。ここにいるより海で泳いでたほうが気持ちいいでしょ。きっとまた帰ってくるから待ってようね」と,必死になだめる。王子との入浴時にいつも4匹浮かべて遊んでいたオサカナだけに,青いのが1匹いなくなってしまったのは何とも哀れである。入浴の度に,「アオイオサカナウミイッチャッタネ。マタカエッテクルネ?」と何度も何度も王子に尋ねられる。
それ以来,オモチャ売り場や駄菓子屋やサービスエリアの土産物売り場などを覗くたびに,あれと同じオサカナセットが売っていないか探したものの見付からない。仕方なく,寿司に付いていたオサカナ形の醤油入れ(たまたま蓋が青いやつ)を代用にしようと,海に行って帰ってきたらカラダが透明になっちゃったよ,と言ってみるも,あの流れていったオサカナと同じとは信じてくれない(当たり前か)。
今朝,シンクの排水が悪い気がしたので,パッキング受けの部分を外して掃除しようとしたら,なんと,横の小さな穴にあの青いオサカナの尾の部分が見えている。オーバーフロー穴から流れた水は,こんなところに流れ込む構造になっていたらしい。
さっそく王子を呼ぶ。抱いて上から覗かせたら「アオイオサカナウミイッテカエッテキタ〜」と大喜び。1か月以上経っているのにちゃんと覚えているのである。この記憶力のスゴさは親譲り? さっそく救出作戦を開始するも,これが意外に難航。オーバーフロー穴からパッキング受けの横に流れる管の径が,オサカナの胴体の幅ギリギリで,背びれの部分が引っかかり容易に取り出せないのである。今日まで見えなかったのも,管の中をゆっくり押し出されてようやく先端まで来たからに違いない。
ラジオペンチとピンセットとドライバーを使い,背びれの部分を少し潰してみたところ,ようやく穴から抜け出てきた。背びれを潰すところを見ていた王子は,「オサカナサンイタイイタイ」と言って号泣。
かくしてめでたく帰還した青いオサカナとその仲間たち。右は1か月代用していたニセ青いオサカナ。
